「みんなの疑問②太陽光発電の今後は?」

 

創エネ・省エネ研究会メンバー

 株式会社光と風の研究所 狩野 眞也氏

今月のコラムは、3月に引き続き、日頃、一般市民から寄せられる太陽光や、再生可能エネルギー、省エネに関する疑問や質問の声にQA方式で簡単にわかり易く解説します。4月は、みんなの疑問として、太陽光発電に関するはQAです。中には私独自の解釈も有りますので、異論、反論等が有る方は、ぜひお問合いただければと思います。

 

Q1:日本でソーラーパネルが普及しないのは何故ですか。また今後ソーラーパネルで発電しても電気で買ってくれない状況になっていると思います。なぜこんなにも対応が遅れているのでしょうか

A. 前述のとおり、再生可能エネルギーは新分野ですので、コストが割高になります。太陽光パネルも一般の家庭用を見ると、10年前は100万円/kW以上の設置コストがかかりました。しかしこれは、一般の家庭に導入が進んだドイツなどでも同じで有ったはずです。異なるのはドイツでは国や、自治体などが導入を推進する為の補助や、法整備をしっかりしてきたという差があるのではないでしょうか。太陽光発電の電気を買取り出来ない状況に関しては、固定価格買取制度という法律の整備だけを行い、送電網や、変電所設備など実際の電気インフラ設備の受け入れ態勢を整えていないという事実が有り、この問題が露呈してきたからです。せっかく固定価格買取制度で、ある程度は太陽光発電設備の導入が進みましたが、この問題を解決しないと、頭打ちの状況になってしまいます。この問題の解決には蓄電池などの新しいインフラも必要かも知れません。

ちなみに、再生可能エネルギーの発電コストが既存の電力のコスト(電力料金や発電コスト等)と同等かそれより安価になる事をグリッドパリティと言います。今までは上記の様な理由で、グリッドパリティーを達成できるソーラーパネルは有りませんでしたが、最近では実質的に達成出来ているパネルメーカーも有る様です(他社との販売価格の問題も有るので、公表はしていません)。しかし、これはあくまでも、現在の電力料金との比較なので、他の発電方法と比較して発電単価が最安ということではありません。またいつ何時、どの様な理由で電力料金が変動すとも限りません。

Q2:ソーラーパネルを付けた屋根が普及すると、電気が売れなくなるために初期投資費用が取り返せなくなるということを聞いたことがある。この問題に現実社会が直面した時、どのような対策をとれば良いいでしょうか。

A. 今現在、売電事業をしている方、又は電力会社と売電の契約が済んでいる方たちは、国家の法律である固定価格買取制度により電力の購入が約束されています。但し電力インフラの未整備により、変電設備、送電線などの、許容量が足りないという問題が有るのは事実です。現実この問題が露呈したために、この不十分な電力インフラを誰がどの様に更新していくかが課題となっています。実際に群馬県では早々にこの問題が生じた為に、誰もが発電事業を始める事が出来なくなりました。そこで、対策の一案として、実験的に、送電網の容量を増やす為の工事負担金を入札する事になりました。つまり高い金額を提示した業者の順に、電力会社は契約を進めるというものです。入札は昨年(平成26年)12月中の予定で、今年(平成27年)の1月に入札結果が発表される予定でしたが、実は今現在(平成272月半ば)でも入札結果の発表は有りません。この結果は固定価格買取制度の今後の方向性を示すものと思われましたが、どうやらうまい具合にこの制度は働かなかった様です。この状況をどこの東京電力担当者にお伺いしても、状況を明確にお答えいただけませんでした。

ちなみに、ソーラーパネルは、電気を発電してその電気を販売するだけのツールではありませんし、固定価格買取制度も、再生可能エネルギーの導入推進をする為の方策の一つですので、ある程度一定の成果を国が達成したと考えればこの制度も終焉を迎えるかも知れません。それに太陽光発電を設置する場所も限りが有りますので、そもそも未来永劫、だれでも参入できる事業ではないでしょう。

Q3:太陽熱暖房(ソーラーウォール)は効率がよく非常に素晴らしいものであると思います。しかし、単純な設備ではあるが従来の建物に新設することはソーラー以上に難しく思えました。(建物の下から空気を送るため)

A. 従来の建物にソーラーウォールを設備する事は、それほど難しく有りません。実際に後から設置している例は多々ある様です。送風は何が何でも建物の下から送らなければならない訳ではありません。温風を室内に送れば良いので、吹き出し口はエアコンの様に壁面からでも構いません。これならばエアコン設置の工事と同等での設置が可能かも知れません。エネルギーを、特に太陽光のエネルギーを発電の材料としか捉えていない方が多いですが、太陽の熱を直接利用する太陽熱暖房などはみなさんにもっと知っていただきたい技術です。

Q4:ソーラーパネルの値段を発電した電気によってもとをとるには、何年くらいかかりますか。

A. 今現在、太陽光による売電事業を検討されている方は、おおよそ10年以内で投資費用の回収を考えている様です。但しこれは、電力会社が、20年間、固定の価格で買い取るという条件が有る為、長期にわたっての設備投資回収プランが成り立っています。買取価格は毎年見直しがされ、今後は下がる方向の様です。また、設備費用・工事費用が買取価格に比例して下がらない場合には、回収は10年よりもかかる方向になるでしょう。又、家庭用の10kW以下の余剰売電に関しては、そもそも大型の太陽光発電設備よりも、設備の単価が、約2倍かかりますので、元をとるにはさら長期になると思われます。但し、産業用、家庭用にしても、メーカーや、設置業者により、価格は様々ですので、一概に言える話ではありません。

   それと、“もとを取る”という意味はユーザーによってまちまちではないでしょうか。太陽光発電によって、売電で儲ける、又は家庭内の電気代を(ゆくゆくは)浮かす、という目的以外に、太陽光発電を導入する意義としては、石油・ガスなどの火器を使用しないオール電化住宅などはそもそも太陽光で採算をなどとは考えていないでしょう。又、太陽光発電と蓄電池を組み合わせて、停電時の災害対策用に導入する方々も最近増えてきています。この場合は太陽光発電の価値は、売電単価で表せるものではありません。

Q5:ソーラーパネルの処理技術についてはどの様にお考えですか。このまま作りっぱなしでは処理に困ると思うのですが

A. 処理とは産廃処理の事でしょうか。じつは太陽光パネルほどライフサイクルの実力値が高い物は有りません。要は長持ちするという事です。実際、私の自宅ソーラーパネルは10年目にて、発電量は全く落ちていませんし、当社の屋根に設置したソーラーパネルは約20年弱立っていますが、これも又、殆ど発電量は落ちていなく、今後もまだまだ活躍する予定です。

但し、今後心配なのは、パネルの性能劣化の問題ではなく、発電設備を持っている方が永続的に管理する事が出来るのかということです。今現在、大型の太陽光発電設備が、固定価格買取制度のおかげでブームにはなっていますが、そのうちの何割かは、20年発電事業が継続しない、出来ないのではという声も上がっています。実際、昨年の大雪で、機材の破損により、発電事業を断念したケースが早くも有るそうです。その際、それら機材は、破損したもの、しない物でも、放置される可能性も考えらえます。その様なケースを防ぐ為にも、何等かの環境アセスメント指針を策定しなければならないでしょう。これは、行政主導の基に、メーカー、ユーザーのモラルが問われる問題と思われます。技術的には再利用、廃棄、どちらも問題は無いでしょうし、最近はソーラーパネルの中古市場も出てきました。

Q6:太陽熱暖房(ソーラーウォール)が効率が良く、安価で、メンテフリーなのにまだ普及していない理由は何ですか。

A. 実は、“ソーラーウォール“ はつい最近まで、特許製品でありカナダのメーカのものでした。故に、一社独占による価格の問題、認知度の低さ、設計、施工、施主側の省エネ意識の低さなどが要因だったのではないでしょうか。

今現在は特許も切れていますので、他社類似品なども出回ってくると思われます。実際、省エネ意識が高く、DIYの趣味の有る人等は、自作をしてみる人もいる様です。

Q7:ソーラーパネルですが、日本のような台風が多い国では有効なのでしょうか。

A. 相対的に見て有効です。太陽光の売電事業でまず最初に検討するのが、太陽光を設置する場所の発電量です。これはその場所の日射量に比例します。その場所の日射量は、毎年NEDO(独立行政法人新エネルギー産業技術総合開発機構)や気象庁で統計を取り、公表しています。当然、統計ですからその年の台風の影響も反映されています。現実としては、この日射量の統計を元に、発電量をやや少なめに予想をして採算検討をしている様で、実際に発電する量は予想を上回る例を良く聞きます。

但し、相対的に有効であっても、確かに台風などで、設備その物が損壊する事も考えられます。最近はその様なケースを見越した内容の保険に加入するのが一般的です。

 

 

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